基本は、あせらず根気よくです。
ただ単なる動物であるか、あなたの良き伴侶となりうる愛犬であるかというその差は、あなたが所有している犬をどれだけ熱心に指導が出来るか否か、ということによって自ずから決まるものです。
あなたの愛犬をより立派なものにするには、あるいは又あなたの犬を誇りを持って他人に話すことが出来るようにするには、どれだけの愛情としかも辛抱強く指導して行かれるか否か、によって決まります。
犬を訓練して行く上に先ず考えなければならないことは、犬が今何を考えているかを十分理解してやるよう、常に念頭に置いて訓練して行くことが大切です。
あなたのその思いやりが自然に犬にも感じ取られ、犬の方でも出来得るだけの智恵を絞って、あなたの要求しようとしていることを理解しようと務めます。
犬の訓練をするのも、子供の教育をするのも、何ら変わることはありません。時には厳格に、またある時はやさしくして、緩急よろしきを得た訓練をすることが肝要です。
ただ、子供と違うところは、言葉を理解できませんので、繰り返し繰り返し何回も反復して訓練をすることによって犬に理解させるように仕向けて行かなくてはなりません。
辛抱強く繰り返し訓練することが大切になってくるわけです。
犬というものは、愛情を持って頭を軽く撫でるようにたたいてやることだけでも非常に喜ぶものです。
何か難しい訓練をした後では、ご褒美を与えてやることも、指導していく上には良い手段の一つです。 犬の方でもこの次には又上手にその訓練をしようという気持ちが湧いてくるものですから、常に犬を上手にリードすることによって犬とあなたの気持ちが合致して 、訓練も次から次ぎへと興味が湧いて、面白く高度の訓練をするように務めなければいけません。
訓練の基本的事項
[命令]
犬に命令を伝える方法として、声符(言葉による命令)と視符(手、体などの指示者の動作)があります。
命令を与える言葉はなるべく短い言葉を選びます。また命令語は常に同一の言葉を使用しなくてはなりません。例えば「座れ」といったり「お座り」といってはいけません。犬にとっては、あなたから与えられる命令が言葉として聞こえるのではなく、ただ音の調子だけしか分からないのですから、命令するときの言葉は常に同じ調子、つまり同じ言葉を使用しなくては、犬には理解できません。
[訓練の時期と所要時間について]
訓練をするには、犬もまたあなたも常に面白く興味が湧いているときでなくては、良い訓練は出来ません。
そうしますと犬にとっては、どうしても一回に30分も続けて訓練することは感心しません。 長くも10分くらいの間に訓練を打ち切るようにして、また時間を置いて何回と無く焦らずに繰り返して訓練した方が指導していくのには最良の方法と考えます。
朝、昼、夕食の前に10分間訓練するのも一つの良い方法でしょう。ちょうど終わった後食餌を与えられますので好都合です。
[紐と首輪について]
訓練をするには紐(先がフックになったリード)と首輪が必要となります。紐には色々な種類のものがありますが、例えばナイロン、麻、革、クサリ等ですが、革が一番適しているようです。
首輪を買うときは予めテープで首周りを計って置いて、それよりやや大きめのものを買うようにして下さい。
子犬の場合は首輪の穴の空いているところの一番小さいところに合わせて買ってきませんと、すぐ成長して大きくなりますので注意して下さい。
また大きな犬の場合には、穴の中間くらいの所で合わせて買った方がよいと思います。 初めて犬に首輪を嵌める祭には、急に嵌めようとしても嫌がりますので、買ってきた首輪を暫くの間犬に臭いを嗅がせておいて、十分になれてから犬の首をしっかり押さえておいて嵌めてやります。
嵌めたらば一緒に犬と暫くの間遊んでやります。 非常に首輪を気にしますので、出来るだけ忘れさせるよう、他のことに気を散らして早く首輪に慣れるようにしてやります。
以上の準備が出来ましたら、実際の訓練を順を追って説明していきましょう。