「……さて、どうなってるかな?」
前回入った時から一日以上の時間がたっている。約50年ほどの時間が過ぎ、死んだ回数も1000万回に届く程だ。
本当なら、あの二人を出すのはもっと後のはずだったが俺の都合のために出す事にした。これからあの二人には馬車馬の如く働いてもらう。
「あぅぁーー……」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」
再び入った部屋ではアリアと言われた方は精神が壊れたのか涎を垂らしながら虚ろな表情で何か呻き声をあげ、ロッテと言われた方は怯え恐怖した表情で謝り続けていた。
「おい」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「あぁぅ……」
呼びかけて見たが此方に気が付かない。なので以前と同じように捕獲隔離用バリアの中に電流を流して此方に意識を向けさせる。
「ギィヤァァァ」
「アギャァァァ」
「気が付いたか?」
「ヒィ」
� �ッテは気が付いたようだがアリアの方は叫んだだけでそれだけだった。
「ロッテ、とか言ったなお前」
「は、はいぃ。私の名前はリーゼロッテといいますぅ」
「事情が変わった。此処から出してやってもいい」
「え……ほ、本当ですか!!」
「ああ」
「お、お願いしますぅぅ、此処から、此処から出してくださいぃぃぃ!!」
涙と鼻水を垂れ流し懇願するロッテ。
「……なら、これ以降俺が命令した事は一切の疑問を持たず必ず遂行すると誓えるか?」
「誓います。誓いますからぁぁ」
「なら、お前達の主であるグレアムを消して来い」
「お父様を、消す……」
「そうだ。どんな手段を使ってもいい。とにかくグレアムを消して来い」
「無、� �理です。私達使い魔は主に対して反逆は出来ない用に……」
「そんな事はすでに解消済みだ」
「え?」
「貴様は俺の言う事に疑問を持つのか?ならまた此処で死に続けたいのか、今度は数年は此処には来ないぞ」
「い、いやぁぁぁーーー!!や、やります!!お父様を消しますからそれだけはそれだけはーー」
「なら出してやるからさっさと逝って来い。それとこの首輪を付けていけ」
そう言い黒い首輪を差し出す。
「この首輪は貴様が逃げないように監視するための物だ。貴様がもし逃げ出そうとしたり誰かに俺の事を言おうとしたら即座にこの部屋に転移させて今度は何十、何百という死に方を何千何万回と与え続ける用にになっている」
「こ、れが……」
首輪を持つ 手が震え、体中から汗を流すロッテ。
「それを自分で付けてから逝って来い」
「は、い」
涙を流し震える手で首輪を付けるロッテ。
「……遂行できたらアリアを元に戻してやる」
「え……」
「駒は多い方がいいだろう?」
イノテックショック犬の首輪
「……はい」
全てを諦めた表情を浮かべ頷き、GZによって元の世界に転移させられる。
「さて、俺も動くか」
時空管理局所属、巡航艦「アースラ」内ブリッチ
「グレアム提督が殺された!?」
「ええ、今朝方に本部の局員が発見したようよ」
そういうリンディの表情は暗く、報告を受けたクロノの表情も暗かった。
「いったい誰が……」
「……その事なんだけどクロノ、落ち着いて聞いて頂戴」
「艦長、何を……」
「…グレアム提督を殺害したのは、リーゼロッテらしいの」
クロノの表情が驚愕に染まる。
「な、馬鹿な!!ロッテがそんな事するわけが無い!!それに使い魔で あるロッテが主であるグレアム提督を殺せるはずが無い!!」
「そんな事、分かっているわ。でも発見されたグレアム提督には一切の抵抗の後が無くさらに本部の記録にはグレアム提督の部屋に最後に入って出て行ったのはロッテであり死亡推定時間もロッテが入った時間とほぼ同じ時間だったの」
「そ、んな……」
「クロノ、貴方が信じられないのは私も同じ。でもロッテ以外でグレアム提督を殺害できたのは誰もいないのよ」
「そのロッテが偽者の可能性は……」
「それも考えたわ。でも今現在ロッテが偽者である証拠は何所にも無いのよ」
「くそ!!」
「クロノ……」
その様なやり取りをしていた所に、船全体を揺るがす衝撃が走る。
「うわ!!」
「っ何が起 こったの!?」
其処に報告が入る。
「か、艦長!攻撃を受けました。今の攻撃でアースラのシールド残量が27%までに低下!!」
「第二波、来ます!!」
「緊急回避!!」
「駄目です、間に合いません!!」
再び船に衝撃が走る。
「っっ!!報告!!」
「今の攻撃でシールド残量が0になりました!!」
「第一、二通路破損、第五、七、十装甲大破!!」
「駆動部にダメージ!!このままでは航行に支障が起きます!!」
「各員に通達、コレよりアースラは通常空間に緊急離脱。その後付近の惑星に緊急着陸します。対ショック準備!!」
「通常空間に緊急離脱、ならびに付近の無人惑星に緊急着陸」
「衝撃来ます!!」
「全員何か� �捕まって!!」
そしてアースラは"都合"よくあった無人惑星に不時着する。
「……報告」
「不時着の衝撃でさらに第十一、十五、十七装甲破損」
「駆動部にダメージ大、航行は不可能」
「通信機能も衝撃で機能しません」
「搭乗員の安否は」
「衝撃で軽い怪我を負った物はいますが重傷者はいないようです」
「そう、それだけは不幸中の幸いね」
「っ、いったい誰がどうやって……」
「艦長、アースラ前方より高エネルギー反応!!」
「何ですって!!」
「この反応……ウソ、なんで!?」
最高の犬のショック首輪
「どうしたの」
「高エネルギーの反応は闇の書と同じ反応です」
「なんだと!!闇の書は此方に有る筈だ、そんな事は……」
「でも測定には異常は有りません」
「クソ、何が起こってるって言うんだ」
ブリッチ内は混乱の極みにあった。突如受けた強力な攻撃に此方にあるはずの闇の書と同じ反応を出す謎の高エネルギー反応。
迂闊に行動は出来ない状態だが、だからといってこのままではやられるのが落ちである。
「……艦長、自分があの反応地点に向かいます。その間に此処から離脱を」
「クロノ!?何を言ってるの」
「このままでは何時やられるか分かりません。なら自分が少しでも時間を稼ぐのでその間に艦長は他の搭乗員を連れて此処から離脱してください」
「そんな事……」
「しかし、それ以外に方法は……」
「艦長!!」
その時、オペレーターの一人が声を上げる。
「どうしたの!」
「高町なのはとフェイトテスタロッサの二人が高エネルギーに向かって行きました!!」
「何ですって!?」
「なのは、いいのかな?勝手に飛び出して」
「大丈夫だよフェイ� �ちゃん。あのままにしてたら皆が危ない目に会っちゃうもん。そんな事はさせないの」
この時のなのはは助長していた。魔法という強力な力を手に入れてらから、関わってきた事件で彼女は苦戦するも最後には勝ってきた。
その結果が、彼女に無謀な行動を取らせる用になり、そしてその結果彼女は深い深い絶望を知る事となる。
「……来たか」
其処には黒い色のフードが着いたロングコートを着た背の高い人間が一人。
「貴方がアースラを襲った人ですか」
「そうだとしたら?」
「貴方を逮捕します」
「……」
「今ならまだ間に合いますから自首してください」
その言葉を聴いた相手は徐に懐から一冊の厚い本を取り出した。
「デバイス!?」
「何をする気なの!」
「……」
無言で取り出した本を開く男性。
「来い、三猿衆」
言葉と同時に男性が取り出した本が光、其処から三人の女性が登場した。
「見ザル、烈火」
「聞かザル、鉄槌」< /p>
「言わザル、泉」
「「「三猿衆、参上しました」」」
烈火と名乗った女性は目に、鉄槌と名乗った女性は耳に、泉と名乗った女性は口にそれぞれ同じ模様が描かれた金属で出来た拘束具のような物を身につけていた。
「貴様達はこの二人を相手にしろ。俺は向こうに行く」
「分かりました」
そう言い、アースラの方に行こうとしたのを二人が止めようとするも、三猿衆と言われた三人が間に入り、足止めをする。
「其処をどいてください!!」
そう言うも、返ってきたのは烈火と鉄槌と言われた二人の攻撃だった。
「くっ!なのはやるよ」
「分かったなの!」
衝撃の犬
「アースラ」内ブリッチ
「此方に高エネルギー反応来ます!!」
「二人は!?」
「最初に反応があった場所で交戦中の模様」
「仕方ないわね。交戦できる者は全員出て足止めを、非戦闘員は至急離脱準備、準備が出来次第準じ離脱!!」
「り、了解しました」
リンディは其処まで言うとクロノに顔を向け命令する。
「クロノ執務官、コレよりアースラ内の戦闘要員全てを引き連れて足止めに向かいます。貴方には先人をきって貰いたいのだけどいいですね」
「分かりました」
そして、戦闘要員全てをつれてアースラに向かって来る反応に急行する。
「見えた!」
アースラに向かい飛行しながら向かっ� �くる男性を見つけ警告するクロノ。
「そこで止まれ!!それ以上の進行は認めない」
「……」
その言葉を無視して進んでくる男性。
「警告を無視するか!なら!!」
自分が持つデバイスを男性に向け威嚇射撃をしようとするが
「!!」
"魔法"が発動しなかった。
「これ、は……」
「……私に魔法は通用せんよ、クロノ」
「僕の名前を!!誰だ貴様!!」
「やれやれ、私の声を忘れたのかね?」
そう言いながら、フードを外す男性。その顔は
「な!!あ、貴方は!?」
「久しぶりだな、クロノ」
死んだはずのギル・グレアム提督本人の顔だった。
「……しばらく見ないうちに大き……男らしくなったな」
「何で言� ��直すんですか!!ってそれよりも何で死んだはずの貴方が!!」
「簡単な事だ。今の私は闇の書の主だからだ。偽装死亡も簡単な事だ」
その言葉に驚愕するクロノ。
「闇の書だって!!あれはアースラに有るはず……」
「あれは見た目だけをコピーしただけのゴミにすぎん」
「ニセモノだって言うのか」
「そうだとも。いやはや笑わせてもらったぞクロノ。貴様達が何の疑いも持たずゴミを持っていったのは」
そう言うグレアムの顔は酷く歪んだ笑顔を浮かべていた。
「貴方が持っているのは僕の父さんを、貴方の部下であった父さんを殺した原因を作った物なんだぞ!!それを……」
「彼の事は残念な事だった。だがそれだけだ」
「それだけだと!!」
「 そうだとも。彼の事はすでに終った事だろう。何を今更……」
「……貴方はそんな事を言う様な人ではなかったはずだ」
「クク、分からんぞ。そういう風に振舞っていただけかもしれんぞ?」
「……なら僕は時空管理局員として貴方を逮捕します」
目を滲ませながらもグレアムに言い放つクロノ。
「クク、カカカカカカ!!!私を捕まえるのかクロノ!!闇の書の主たる私を!!」
笑い、歪んだ表情でクロノを睨むグレアム。
「貴方は僕が尊敬する人だった。だが今の貴方はただの犯罪者だ!!犯罪者を捕まえるのは執務官の義務だ!!」
「義務か……下らん、下らんぞクロノ!!それに貴様に私を捕まえるのはもはや不可能だ!!私が何故貴様とこうして長々と話をしていると思う?」
「何を……」
グレアムは手に持った本を高く掲げて言い放つ。
「無差別完全蒐集開始!!」
その言葉と共にクロノと周りを囲んでいた戦闘員の胸から何かを掴み取るように黒い手が飛び出した。
「グアァァァ!!」
「ギャァァァ!!」
「ギ、ッィィ!!」
周りから聞こえてくる悲痛な叫びに
「ククク、カカカカカカカカカ!!!!」
まるで甘美な声を聞いたように笑い出すグレアム。
「な、に……を、した、グレアム!!!」
苦痛に耐えながら問いただすクロノ。
「何、簡単な事よ。リンカーコアを持つ者から魔力、いや魔力を生み出すリンカーコア自体を魔力ごと蒐集しただけよ」
「なん……だ、と」
「コレは歴代の主達がしてきた魔力だけを蒐集するものとは違い、魔力を生み出すリンカーコアごと完全に蒐集するものだ。まあこの蒐集の仕方では同じ者に対しては一度しか蒐集できないのが難点だがな」
「く、そ……」
激痛に意識が遠のくクロノ。
「安心したまえ、クロノ。命まで は"私"はとらんよ」
そう言いながらクロノ達の間を抜けアースラに向かうグレアム。
「……もっとも、この惑星には隔離指定された猛獣がいるが、まあ頑張りたまえ」
かくして始まる終わりの歌
死者を操るのは冥府の王
その世界に齎されるのは
破滅か再生か
まだ誰にも分かりはしない
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